2021.06.18
シリコンゴムの接着性改善
シリコンゴムのような “接着” が難しい素材は、 例えば両面テープでは貼り付けることができません。
プラズマを照射したシリコンゴムは、 紙製の両面テープをも強固に貼り付けることができます。
▼動画.プラズマ × シリコンゴム
こちらの動画では、大気圧プラズマ処理によるシリコンゴムの接着性改善をお伝えしています。
シリコンゴムは耐薬品性や耐熱性に優れることから、あらゆる場面で使用されている素材です。
しかしながら、優れた離型性がゆえに、貼り合わせたり、別の素材に貼り付けることが難しい素材です。
大気圧プラズマを照射することで、シリコンゴムの表面が化学的に改質され、簡単に接着性を向上することができます。
両面テープでも強固に接着できることで、従来の溶剤系接着剤によるVOC(揮発性有機化合物)問題の改善や、組立工程の作業性を向上することが期待できます。
最新の実験では、ホットメルト接着剤でもプラズマ処理を併用すれば、強固に貼り合せることができることがわかっています。
DIYなどでポピュラーなホットメルト(グルーガン・熱溶着樹脂)は、熱で溶かした樹脂が冷えて固まることで、モノとモノを簡単に接着することができます。
溶剤を使用しないことも、扱い易く重宝される理由の1つです。
ところが、シリコンゴムはホットメルトでの接着は困難とされています。
大気圧プラズマを処理すれば、熱溶着(ホットメルト)でも強固にくっつけることができます。実験では、未処理に比べ、10倍以上の接着強度を得ることができました。
一般的な硬化型接着剤では、薬品や溶剤を使ったり、高温処理や破壊することでしか剥がすことができません。 ホットメルトは、再び加熱すれば剥がすことができるため、リサイクルを容易にすることができます。
▼動画.ホットメルト × プラズマ
さらに強固な接着性が必要な用途では、材料破壊するほど強固に接着することができます。
▼グラフ.大気圧プラズマ処理の有無による接着強度の比較
▼写真.大気圧プラズマ処理の有無による界面の比較
プラズマライズでは、あらゆるガスをプラズマ化する技術とノウハウを用いて、素材と接着剤に最適なプラズマ処理条件を導き出すことができます。
さらに、低温・ダメージフリーのプラズマですので、素材に放電や熱などのダメージを与えることがありません。
大気圧プラズマは、まるでスプレーのように自由自在に対象物に照射できます。
複雑な形状の物体にもプラズマ照射が可能です。
▼写真.シリコンゴムのプレートにピンポイントで大気圧プラズマを照射する様子
このようにプラズマ処理されたシリコンゴムの表面は、接着性が向上するだけでなく、著しく水との親和性が向上します。
溶剤や薬品を用いることなく、ガスと電気だけで表面を改質することができます。
このような水との親和性は、水接触角計を用いて定量的に評価することができます。
▼写真.大気圧プラズマ処理の有無による水接触角の測定